ステランティスが再製造部品とリサイクルオイルを拡大、EV時代の部品循環
ニュースの概要
欧州の自動車大手ステランティスが、電気自動車(EV)とハイブリッド車向けの再製造部品の品目を広げると、循環経済の専門媒体が伝えた。あわせて、使用済みオイルを精製し直したリサイクルオイルの取り扱いも進めるという。再製造とは、使い終えた部品を回収して分解、洗浄、検査、部品交換を行い、新品と同等の品質に戻して再び売る仕組みだ。これまでエンジンやトランスミッションなど内燃機関車の部品が中心だったが、電動化が進む中で対象を電動系の部品にも広げる形になる。新品より安く、資源の消費と二酸化炭素の排出も抑えられるため、修理市場と環境対応の両面で意味を持つ動きである。
引用元: ステランティス、EV、ハイブリッド車向け再製造部品を拡大。リサイクルオイルも(Circular Economy Hub)
分析・見解
内燃機関の再製造ノウハウを電動部品へ移す狙い
ステランティスの再製造事業は、すでにエンジンやギアボックスなどで実績がある。回収網、検査基準、保証制度が整っているということだ。今回の拡大は、その仕組みを電動系部品へ横展開する試みと読める。
EVは部品点数が少ないと言われる。しかし、駆動用モーター、インバーター(=電気の向きや強さを変える装置)、充電器、制御基板は高価だ。故障のたびに丸ごと交換すれば、修理費は高止まりする。再製造品が安く出回れば、修理代の負担は確実に下がる。
リサイクルオイルが示す、部品以外の循環への広がり
オイルの再生は地味に見えるが、ここに大事な視点がある。再製造は部品単体の話にとどまらず、整備の現場で出る消耗品まで含めた循環へ広がっているのだ。
ハイブリッド車は、エンジンを持つため今後も長く走り続ける。つまりオイル需要は急には消えない。使用済みオイルを精製し直す仕組みは、電動化の移行期を支える現実的な手段になる。EVが主役になっても、減速機の潤滑油や冷却液は必要で、再生の考え方はそのまま使える。
車載電池の再利用とどう役割分担するか
電池は車の中で最も高価な部品である。再製造の対象としても大きな存在だが、劣化した電池を新品同様に戻すのは容易ではない。当サイトの電池の再利用の解説でも触れているとおり、車で使えなくなった電池は、蓄電池など別の用途で第二の寿命を得る道もある。
独自の視点として押さえたいのは、再製造の価値は部品の値段だけでなく、回収の仕組みそのものにある点だ。メーカーが使用済み部品を確実に手元へ戻せれば、レアメタルの回収や電池のリサイクルにも同じ網を使える。部品の再製造は、実は資源回収の入り口になる。
規制と制度が追い風になる一方、品質保証が壁になる
欧州では、電池の履歴を記録する電池パスポートや、自動車の再生材使用比率を求める規則づくりが進んでいる。再製造と再生材の活用は、規制対応の手段としても価値が高い。
ただし課題もある。電動部品は高電圧を扱うため、再製造後の安全性を示す検査が欠かせない。新品と同じ保証を付けられるか、事故時の責任をどうするかが、普及の速度を左右する。ここが整えば、再製造品は単なる安い代替品から、正規の選択肢へ変わる。
ビジネスへの影響
修理市場と部品調達の前提が変わる
自動車の整備事業者や車両を多く持つ企業にとって、再製造部品は修理費を下げる有効な手段になる。特にEV向けの高額部品は、新品との価格差が大きいほど効果が出る。保険会社も、修理費の見通しを立てるうえで再製造品の扱いを見直す時期に来ている。
調達担当者は、再製造品の保証期間、検査基準、供給の安定性を新品と並べて比較したい。単価だけで選ぶと、納期や保証で不利になる場合がある。
部品メーカーと素材企業が取るべき動き
部品メーカーは、設計の段階で分解しやすさを考えると有利になる。接着で固めた構造は再製造に向かない。ねじ止めや規格化された接続にしておけば、回収後の作業費が下がる。
素材や化学の企業にとっては、リサイクルオイルのような再生品の需要が増える。品質を安定させ、自動車メーカーの規格に合格する体制を持てるかどうかが、取引の入り口になる。
自社でまず確認したい三つの点
一つ目は、自社が使う車両や設備の主要部品で、再製造品が選べるかの確認だ。二つ目は、使用済み部品を戻す回収の流れが契約に入っているかの確認だ。三つ目は、将来の規制で求められる再生材の比率や履歴の記録に、取引先が対応できるかの確認である。小さな見直しでも、数年後のコストと規制リスクの差になって表れる。